超能力者だけの世界で。

まだ、問題は解決していない。

赤次は異変に気づく。
何かの匂い。爆薬。いや、違う。


「くそ…やられた。」


赤次は焦りの表情。
能力が使えない。

神経を麻痺させるガスの匂いだ。

頭が痛くなる。
能力を使うために必要な神経にダメージを与えられた。


「黒也…大丈夫か?」

「何とか。」

「私たちはともかく、澪原と青崎の方が心配だよ。」


水流は辛うじて動けるようだ。
今までのこともあり、氷河は限界だった。
氷河のところには彼女、紗李菜が付き添っている。


「大丈夫?」

「ああ。」


意識はあるようだ。
赤次はそれを確認して周囲を見渡す。
誰が持っていたのか。
能力を持たない者が知るはずのないものを。


「!」


無能力者の集団の中で1人。
ガスマスクをつけている者がいた。
ガスが落ち着いた所でマスクを取る。


「あいつは…合世色弥!?」


紫色の綺麗な髪が風で微かに揺れている。
少年は怪しい笑みを浮かべる。
そして、集団に合図を送った。


一斉に構えられ、引き金を引かれた銃。
手から離れる大量の手榴弾。


「っ!!」


どうすればいい。
考える時間なんてない。
赤次は近くにいた黒也と水流を守ろうと敵に背を向けて抱いた。


「え…。」


その後に違和感。
手遅れかと思っていたのに、爆発音もしない。


この場だけ、時間が止まっていた。


「まさか…。」


しかし、この中で能力が使える人間は限られているはずだ。

そう考えると、もう答えは出ている。
赤次は驚いた。


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