超能力者だけの世界で。
磁波エレキは思う以上の結果を出してくれた。
でも、黒川赤次が現れた。
きっとカンジさんが頼んだに違いない。
そんな実験を繰り返している間でも俺に破壊しろだとか、殺せとかの指示が来る。
あの白い服の集団『烏』にやらせればいいのに。
普段は顔を隠しているが中を覗いたことがある。
正直、驚いた。
《創始者》が殺した奴等だった。
生きているのか…?
驚いたことは沢山ある。
久しぶりに帰ってきた町で。
澪原水流と闇原黒也が仲良くしているなんて思ってもみなかった。
澪原は《創始者》に闇原黒也を殺せと命令されていたのに。
中学生だった時の澪原は殺し屋のようだったのに…変わっていた。
何されるか分からないのに、勇気のあるやつだよ。
闇原黒也は、普通の人間であった時の記憶を消すことによって能力を制御できるようになっていた。
黒川赤次も嫌な男だ。
俺は闇原黒也に本当の事を教えた方が良いと思う。
だから、思い出させてやった。
あくまで破壊のためだけの能力者だと。
彼は冷静だった。
『澪原水流』を殺せと言った時も受け入れた。
…何故だろう。
《創始者》は見ているに違いない。楽しんでいるんだ。
…この世界は腐ってる。
俺はアイツ等を殺したいと思うようになったけど。
でも、無理だ。
殺されるのは、俺だ。
誰か…助けてくれる奴はいないのか?
本心で思った。
そうだ…磁波エレキなら。
俺を救ってくれるだろうか?
殺してくれるだろうか?
会いに行こう。
彼に。
俺は死を覚悟して、今までの事を…《創始者》の事を彼に伝えよう。
もう、操り人形には嫌気がさしたんだ。