超能力者だけの世界で。
自分は彼の事を憶えている。
けど、彼はオレの事を忘れてしまう。
どうしたらいいのかな?と頭の中で自問自答する。
『ねぇ、君。彼を助けてあげたいの?』
突然、幻聴のように響く声。
正体不明の謎の声。
『僕らのお願いを頼まれてくれたら、君のお願いを叶えてあげる。』
「本当か?」
水流は謎の声に耳を傾ける。
願いを叶えてくれるという声。
簡単に信じきった。
『じゃあ、□□□□と□□□□を殺せ。』
「はぁ!?」
『分かった?制限は1年。できなかったら、君の大事なものを貰うから。』
水流は思わず声が出る。
無茶苦茶すぎる。
殺せるわけなかった。
最初から分かっていた。
自分は殺される側であること。
『僕らは《創始者》と呼ばれているようだね。僕らは全ての能力のプロトタイプ。勿論、この町を創った。そして、僕らは人間によって造られた。』
頭に直接語りかけてくる声の主の姿が一瞬、映る。
少年は愉快そうな笑顔。
少女は無表情で。
『僕には、この町を壊す権利…いや、義務がある。』
少年は刃物のような鋭い目に変わる。
水流は恐ろしくなってきた。
事が大きくなっている。
『…絶対、この檻を破って…超能力持った人間を…造った人間を消す。』
そして、声は何もなかったかのように聴こえなくなる。
水流は立ち尽くす。
何かが狂い始める。
黒い学ランの少年はパニックのあまり自分を見失った。
「オレは…殺す?殺せるのか?□□□□と□□□□を?」
黒川赤次と闇原黒也を。