超能力者だけの世界で。
『北区を潰す』という犯行予告。
ここ数日で不審な能力者が増えた。
現在の北区は非常に危険だ。
《創始者》が本格的に動き始めたとしか思えない。
東区の磁波カンジのように無理矢理潰すに決まっている。
《創始者》の遣い、《烏》の目撃も多い。
いつ破壊行動が起こっても可笑しくない。
下の方で爆音が響く。
「オレも行く。」
「やめておけ。お前の体がもたない。」
「オレは浅斬さんを護るよ。だから、ここに来た。」
少しよろめきながらも、立ち上がる。
体が重かった。
浅斬は彼を止める権利がないと思い、無言で部屋を出る。
(私は水流に無理をさせたくない…これ以上、彼は…。)
2人は中枢棟を出る。
水流は驚いた。
目の前に迫る白い服の覆面軍団。
軽く10人はいた。
それにいかにも正常ではない能力者《改造能力者》が多く確認できる。
町の方が心配だ。
これは少しマズイかもしれない。
「水流、やはり…」
「オレが死んでも骨は拾ってくれよな。勿論、ジョークだけど。」
漸の言葉は遮られ、笑いながら冗談を言う水流。
もう、彼の好きにさせてあげよう。
「…分かった。絶対条件は全員、生け捕り。死なない程度の怪我なら何をしても許可する。」
「了解!!」
水流は近くの消火栓に目を向ける。
ここの水を使おうとマンホールを開けた。
水流は水を操る事ができる。
本来、体内の水を使うのだが、それでは今回は足りない。
長期戦では不利だ。
水圧の加減も難しい。
「水流!!行ったぞ!!」
水流の付近に空から降りてきた能力者が数人。
一気に片付けたい所だ。
物理系の能力者の攻撃を軽々避ける。
「よっと。消火活動開始しますっと。」
元々、置いてあった消火用のホースを持つ。
能力で水の威力を調整。
そして、放水。
数人の能力者は見事に吹き飛んだ。
数メートル離れた木々にぶち当たり、グッタリとしている。
「…生きてるよな?多分。そう言うことにしよう。」
威力の調整が難しく、本人も何が起こるか分からない。