超能力者だけの世界で。
その頃、澪原水流。
「…はぁ…はぁ…ちょっと…そろそろ終わって欲しいな…。」
キリがない。倒しても…倒しても。
澪原水流の体力はもうない。
ある日、《創始者》によって劣化人間になった。
体力、筋力…運動機能を普通の人間以下にされてしまった。
どんなに技術が優れていても、体がついていかなければ意味がない。
一歩でも動いたら倒れそうだ。
(やっぱり…変わってないな…オレは。)
自分に呆れるしかない。
目が霞んで何も見えなくなった。
どうしようもなくて。
情けなくて。
倒れ込んだ水流は動けない。
「澪原!!」
水流は驚いた。
意識も戻ってくる。
その声は闇原黒也のものだ。
痛々しい姿ではあるが…彼は、そこにいた。
「闇原……?」
しかし、登場の仕方にインパクトがあった。
水流は思わず指をさして大笑いする。
「お姫さま抱っこって!!あの闇原が!!」
「………お前。」
浅斬 漸に運ばれてきた黒也は降ろしてもらう。
敵の数を確認、一段と鋭い目付きで集団を捕捉。
すると、敵の能力者は自分自身の影に絡まれて動けなくなった。
黒也の能力は他人の影まで操れるように進化していた。
「浅斬さん、今のうちに。」
「感謝する。」
漸は刀を構え、全てを薙ぎ倒す。
全員に軽く手当てをし、逃げられないように特製のロープで手足を縛る。
黒也も手伝う。
「別の所に行かなければ…。」
「澪原のことは俺に任せてくれてかまわない。」
「分かった、頼む。」
漸は大きく跳躍し、建物の屋根や屋上を利用して戦いの激しい方に向かっていった。
黒也は水流に近づく。
「立てるか?」
「えへへ…無理。」
水流は苦しそうな顔であったが笑って言った。