超能力者だけの世界で。
「君が病室に来なかった日は心配したし、来てくれた日は嬉しかった。外に憧れていたのは本当だったけど、君と一緒にいる時は楽しかったから苦しいことは忘れられた。君が僕を救ってくれた。救ってくれた人を殺すなんて…僕にはできないよ。」
黒也は水流から視線を外す。
恥ずかしそうな顔をしている。
昔の自分なら、こう言う気がして…。
思い出した自分と今の自分のギャップに黒也は少し困惑。
でも、自分であることに変わりはないのだ。
「お前には助けられてるよ。」
「……。」
水流は泣いていた。
大粒の涙が流れていく。
どうしたらいいのか分からない黒也は内心慌てる。
昔の自分だったら…どうするのだろう?
きっと………
「水流…ありがとう。」
穏やかな声で、表情で。
そして、微笑んだ。
病室にいた彼の姿が、そこにあった。
それを見た水流は大声を上げて号泣し始める。
ただただ…安心したから。
しかし、黒也は困り果てる一方だ。
「えっ、ちょっ、お前。泣くなって。体の水が無くなるだろうが。」
「よかったよぉ…オレ、間違ってなかったんだ…。やっと…笑ってくれた。」
「澪原。」
しばらくして、水流は泣きつかれて眠ってしまった。
闇原黒也は水流に上着をかけて、ボーッと座っている。
気分は晴れていた。
(まったく、手のかかるヤツだな。それは俺もか。)
隣で寝息をたてながら気持ち良さそうに眠っている親友を横目で見る。
黒也も欠伸をした。
(思い出すと短い間だけど、水流と会ってから色々あったな…。)
本当に。
「闇原!!澪原!!」
「青崎。」
1人の青年がやって来た。
首に結んである白いリボンが風でなびく。
青崎氷河だった。
やはり、少し怪我をしているようだ。