超能力者だけの世界で。


「闇原のことだから、澪原を殺っちまってるかと…」

「しねぇよ。」

「顔怖いぞー、冗談だって。」


青崎氷河は澪原水流を背負う。
黒也にも手を差し出した。


「ほら、病院行くぞ。」

「ああ。」


黒也は手を取り立ち上がる。
氷河は彼の変化に気づいた。
良い意味での違和感を感じた。


「…良かったな。」

「ありがとう。」

「別人だな。お礼言ってくるなんて…こっちが恥ずかしいわ。」

「昔の俺は、こんな感じ。」


ニヤリと笑って黒也は横目で青崎氷河を見る。
意地が悪いと呟く氷河。


「けど、今までのままでいくからな。」

「そうじゃないと困るぜ、闇原。気持ち的にな。」





ある日、孤立した部屋に《青い鳥》が迷い込んだ。

面白い彼は毎日のように来てくれるようになり、話し相手になってくれた。

この部屋の外の話。
色々なことを教えてくれた。

あることが決まってから…彼の姿は見なくなった。


外の世界なんて、どうでもいいよ。
彼の話が聞けるなら。


忘れたくないよ。
でも、抵抗する力もない僕は忘れていくしかなくて。



そして、僕は誰になるんだろう?



『最後にさ、約束してくれる?水流。』

『ああ。するよ。』

『ありがとう。』




違う僕になっても…支えていてあげてほしい。




水流は昔の俺との約束を守ってくれていた。

今は少し眠っている今の全てを繋げてくれた《青い鳥》

また、あの日のように笑ってくれよ。
僕も恩返しするから。






『オレは絶対に忘れないからさ…また、会おうな。』

『うん。』







《北の青い鳥》end.
→next《最凶の血戦兵器》


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