超能力者だけの世界で。

《最凶の血戦兵器》



『はぁ?本気で言ってるのか?』


黒川赤次は自宅のリビングの床で寝そべっていたところ、飛び起きる。


『良いじゃないか?教師やってみても。』


驚いたのは少し離れた所のソファーに座っている青年の言葉だ。

教師やってみたら?なんて。

赤次は予想外だった。
自分の性格をよく理解している彼が、その言葉を言ってくるとは。


『良くねーよ。年下を相手にするのは苦手だ。』

『そうか?そのわりには年下に好かれてるよな。』


別に好きで好かれてるわけではない。
それとこれとでは、話が違うだろう。


『だって、仕事探してるって言ったよな?黒川。』

『ああ、そうだよ。五区代表の後継者も決まってるからな。』


難しい顔をした青年は腕を組む。
何かを考えてるのだろう。

黒川赤次は現在においては五区代表だが、後継者の教育が終わって仕事を全てを後継者に任せた。

そろそろ、別の仕事を探さないといけない。


『黒川には合ってると思うよ?誰かに何かを教えるとか。』

『マジかよ、冗談だろ。』

『本気だよ。何より黒川が教師だったら笑えるしね。』

『おい、黒条!!』


そして、冗談だよと言って青年、黒条影介は笑った。


忘れない場面。
赤次の頭に焼き付いた思い出の1つ。


今は見えない彼のことを赤次は忘れたことはない。

黒川赤次は彼のことを忘れないためにできるだけのことをした。





『黒川、頼みたいことがある。』

『ん?』

『……いや、何でもない。忘れてくれ。』

『は?』




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