超能力者だけの世界で。


―多彩荘―



エレキの部屋にて。

エレキは澪原水流の看病をする。


「水流さん。半年も帰って来てなかったんですか?」

「あぁ。ちょっと、東区に用事があってさ。」

「心配かけたかもな。」

「心配してるでしょうね。」



澪原水流にお茶を渡す。


水色の目が多少潤んでいた。
エレキは座布団を用意して床に座る。



「ちょっと、闇原とね。」

「闇原さんとですか?」

「色々、あってね。」

「何で?」

「オレが悪かったんだ。自殺しようとしたんだ。うん、その時は心底病んでたからな。」

「…そうですか。」



水流はエレキに話す。
青年には青年の思いがあった。

闇原黒也との殺し合いにまで発展した喧嘩。


エレキは何となくだが、
闇原黒也の気持ちが解るような気がした。



「アンタが悪いよ。
アンタがいるだけで良かったんじゃないか?」

「闇原は、前からさ。
不器用なんだよ…笑えるね。」


水流は笑った。
泣きながら…


エレキは、何も言えない。
ただ、見ていた。


水流はある想いがあった。



(戻ってきて…本当に良かったのかな…?)






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