超能力者だけの世界で。


―南区・多彩荘―



「闇原ー。何か食べ物くれない?」
「は?何で?」



澪原水流は、闇原黒也の部屋にベランダから入り込んだ。

ただ、水流は夕飯の調達に来た。


「腐海を通常の部屋に戻しただろ?だから、食べ物がなくてさ。」

「自業自得だ。コンビニでも行って来い。」

「いやぁ…、また、辻斬りに遇いたくないし。今の状況じゃ…。」



昨日、辻斬りに遇ったばかりの水流。

黒也もその事を聞いた。
深くため息をつく。



「分かったよ。俺もまだ食ってないし、何か作る。」

「やった♪ありがとー。」



水流は笑顔で言う。
黒也は顔を反らす。

この青年は、明るい笑顔を見るのが苦手だった。



(はぁ…。)



ずっと、前からだ。




“ピンポーン”




「誰か来たな…。」


闇原黒也は玄関のドアを開ける。

珍しい来客がやって来た。
白髪の青年。



「破流さん。」

「こんばんわ。御免な。少し話があって。」



南区代表、時田破流。

この町で最も最強と呼ばれている存在の1人。






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