超能力者だけの世界で。
「辻斬りを助けて欲しいんだけど。」
時田破流は突然やって来て、
そう言った。
闇原黒也と澪原水流。
2人の答えはアッサリとしていた。
「了解。」
「以下同文。」
「え?いいの?」
破流は驚いた。
2人は頼み事をすると、
何でも理由を訊いてくる。
今日はそれが無かった。
「真面目な話だろう?」
黒也は言う。
黒也は破流が何故頼みに来たのか分かっていた。
あの辻斬り。
《黒き鮮血の風》
動きが不思議すぎる。
夜だけに現れる。
「あれは能力の暴走なのか?」
「可能性はあるよ。でも、他の可能性も考えるべきだよ。」
「暴走だったら、早く止めるべきだけどね。てか、闇原、ご飯は?」
「待ってろよ。破流さんは?」
黒也は、Yシャツの袖を捲り、
台所に立ちながら考える。
謎の暴走。
相手には自覚はないだろう。
被害者を見る限り、
2つの能力を持っているのだろう。
1つは風を操る能力。
そして、身体強化能力。
(星さんなら…知ってるかもな…。)