超能力者だけの世界で。
(なんだ…?アイツの力。俺の能力が消された?)
青年は、黄色の髪の少年を見た。
(気配にも気づいた…。相当な能力者…。)
青年は少年の肩に自分の羽織っているコートを掛ける。
「着てろ。風邪引くから。」
「あ…有難うございます…。」
少年は戸惑った。
初めて会った人に親切にされたことに。
「俺は、闇原 黒也。
見ての通り、『影』を操る能力者だ。相手の影の中に入り込んだり、自分の影も変型自在だ。」
闇原黒也は、
自分の影を数本の細い帯状にして、掴んでみせる。
「お前の能力は見たことがない…。」
「そう…ですね。」
ぎこちない返事をする少年。
この能力は恐ろしい。
もう少し力を強めていれば、
目の前の青年は死んでいたかもしれない。
少年はこの能力を好いてはいない。