超能力者だけの世界で。



(今日の夕飯は何にしよう…。あの人は帰ってこないだろう。)



闇原黒也は、1人夕焼けの空を見ている。

河川敷の原っぱに横になりながら。


黒也にとっては澪原水流は次元、世界が違う奴。



(酷いこと言ったかもな…、でも、俺に近づかない方が良いんだ。)



闇原黒也は軽く目を閉じる。
冷たい風が肌に当たるのが分かる。

そして、誰かが近くにいることも。



「よぅ♪闇原。」

「お前かよ…。何の用だ?」

「闇原。悲しそうな顔してるからさ。気になった。」

「は?何言ってやがる…。」



澪原水流だった。
キラキラした笑顔で黒也を見ている。

水流は黒也が気になってしょうがなかった。



「闇原と仲良くなりたいなーって思っただけ。」

「変な奴。俺が不気味だと思わないのか?」

「え?別に。」

「変な奴だな。お前。」

「変じゃないよ。人は皆同じ世界に居て、出会えるのもまた何かの運だろ?」

「ロマンチストなのな…。」



黒也は立ち上がって体を伸ばす。
そして、河川敷を離れる。
水流も黒也の後についていく。



「なんだよ…。」

「いや。オレん家こっちだもん。」

「嘘をつくな。いつも南区行きバスに乗って帰ってるだろうが。」

「意外にオレの事、知ってんじゃん。何で?」

「うっせーな。少しは黙れないのか?」

「ひでぇな…。」




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