超能力者だけの世界で。
―多彩町・南区―
多彩荘。
磁波エレキの部屋。
ベッドに磁波カンジを寝かせている。
「あんた、何か食べる?作るけど。」
「エレキ…。あのさ…。」
「何だよ。」
「俺の事が嫌いか?」
「なっ…。」
「いや。俺はお前に酷いことしかしてない。」
「そんなこと…ないけど。」
ぎこちない2人の会話。
兄弟2人きりになるのは初めてだった。
エレキは話す事が見つからず、
カンジは弟の顔をうかがっている。
1人の少年は顔を赤く染めて口を開く。
「あの…さ。あんたに言わなきゃならない事がある。」
「?」
「ありがとう…。俺の事、考えてくれてたんだろ…。」
「…。」
「ちょっ…何、泣いてんだっ!?」
「いや…。そんな気分になったからだ。」
兄は嬉し泣きをした。
弟は戸惑った。
この時、初めて兄弟は繋がった。
エレキは窓を開けた。
雪が降ってきたようだ。
「エレキ。大きくなったな…」
「…。くだらない事言ってないで寝てろよ…。」
(全く大変なクリスマスだったよ…。)