超能力者だけの世界で。


「雹夏さん…。」

「何でしょう?」

「俺…。また新しい恋出来そうなんです。雹夏さんのお陰です。」

「そっ…そうなんですか?」



雹夏は驚いた。
氷河は綺麗な笑顔。


氷河自身は誰だかはまだ分かっていない。


今まで彼から先に人に好意を抱いた事はない。

雹夏は慌てて話を変える。



「あ。そうでした。クリスマスですね!」

「あ…そうだった…。」

「雪降ってます。」

「雹夏さん。これからも会ってくれますか?」

「はいっ!!」



氷河はその時、
無意識に真剣な目をしていた。

雹夏は氷河の優しくも強い姿にひかれていた。


氷河の何の意味も持たない言葉が嬉しかった。


クリスマスの日の《氷世界の王》。

無意識に一歩。
新しい道を見つける。





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