ひみつのはら
2.さっちゃん
さっちゃん。宮本桜ちゃん。
さっちゃんは、世間で言う〝おせっかい焼き〟だ。
いつもこっちゃんやボクの傍にいてくれるから。ボク達は決して自分から人に話しかけない。だからさっちゃんが人と話すお手伝いをしてくれる。
こっちゃんには、ボクには友達がたくさんいるって思われてたみたい。
でも、ホントは違うよ。自分から話しかけられる人は、ホントに少ないんだ。
だから、年少の頃はずっと1人でいた。赤ちゃんの頃から一緒にいたゆかちゃんとナオちゃんがいれば平気って思ってた。
さっちゃんに話しかけられるまでは。
♪
今から2年前、入園したての5月。
ボクとさっちゃんはすみれ組だった。
「おはようたっくん」
「……」
いつもこんな感じ。いよいよ、挨拶して来る人もいなくなってきた。
別に、友達なんていらない。
今となっては、何でそんな風に思ってたのか分からない。
先生には挨拶した。しないと、怒られるから。
きっと、そんなボクの態度がさっちゃんのゲキリンニフレたんだろう。
「たっくんさいてー」