ひみつのはら

 え、ええ!?だいじょうぶなの?


「もうけっこう長いあいだ入院してるんだけど……まぁ、もともとあまりおうちにはいない人だったんだけど……

 それに、お父さんのほうはお医者さんでね。ほら、近くに大学病院あるでしょ?あそこのお医者さんなんだよ」


 た、たっくんって……お医者さんのこどもなんだ。すごい……!!


「だけど、お医者さんだからね……とってもいそがしいの。週にいちど、ゆうちゃんちと帰ってるでしょ?

 あれは、その日だけはどうしてもお父さんがむかえに来れないからなんだ」


 そう、なんだ……。


「だからさ、お姉さんも大変だし、お父さんはいそがしいし……そんな、あそびのことをたのめないんだよ。たっくんは」


「あそび?あ、パーティーのこと?でもたのむって、なにを?たっくんちはナオちゃんちの近くなんでしょ?

 『いってくる』って言って来ればいいんじゃないの?」


 あれ?たしかにたっくんちが大変なことはわかったけど……。


 このお話、答えじゃないよ?


「えーと、だから……それが言えなくて……」


「なんで?言う時間はあるでしょ?それとも、そういう"あそび"のことを言ったら、たっくんはたたかれるの?」


「ええ!?それはないはずだけど……」


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