ひみつのはら

 だったら、なんで言えないの?


 あたしとはちがって、たっくんは「ふつうの子」でしょ?


 どうして?


「とにかく、たっくんが来れないのは仕方ないことで……」


「そうだったら、『ごめんね、行けない』って言えばいいじゃん!なんで『行かない』って……

 『ナオちゃんはともだちじゃない』って言ったの!?」


 けっきょく、わかんないよ。


 やっぱりあたしには、たっくんが「わるもの」に感じる。


 それに、一番ヒドいことを言われたのはナオちゃんじゃないの?


 それなのに、どうして「たっくんはわるくない」って言うの?


 あたしがわるい子だから、わかんないだけなの?


「このみちゃ~ん、お迎え来たよ~」


 2人ともだまってるなか、飛鳥先生の声がひびいた。


「……あたし、帰るね。ばいばい」


 ナオちゃんは、下を向いてる。なんだか今にも泣きそうにみえて、ちょっとビックリした。


 ―――ナオちゃんだけじゃない。こんな顔、梅組になってから初めてみた……。


 やっぱり、あたしはまだ「しらない」のかな。


 たっくんのこと。ナオちゃんの、ほんとうに言いたかったこと。


 そして、それをしらなくちゃいけないのかな。




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