ひみつのはら

 言ってすぐに、あたしは走り出した。走ってるナオちゃんには追いつけそうにないけど……きっと、向かってるのはあそこだから。


 あたしも行って、会わなくちゃ。






 夏の風って、ちょっとしめっぽい気がする。でも、何だかやさしい気もする。


 冬の風よりは、夏の風の方がすきかな。


 そんな風が、服の中を吹きぬける。





 あたしの目の前に、また、あの野原があった。






 真ん中の大きな木の下に、だれかいる。


 あれは……たっくん?どうして木を見上げてるんだろう。


「こんなところにいたんだ」 


 あたしが駆けよる前に、ほかのだれかが来た。


 あ!ナオちゃん!!


「……どうしたの?パーティーは?」


「もう終わったよ。みんながお祝いしてくれて、うれしかった」


 二人はならんで、ひそひそバナシをしているみたいに話してる。


 でも、ちゃんと聞こえる。


 



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