ひみつのはら
ナオちゃんがあの時あたしに怒ったのは、たっくんのためだけじゃない。
あたしに、「ぼくもこっちゃんにやさしさあげるから、たっくんのことをちゃんと知って、やさしくしてほしい」って、たのんでたんだ。
そうだ。きっとそうだよ。
「でも、でも……」
また、たっくんがはなしだす。
「こ、こっちゃ……いったとおり……ぼっボク、アクマ……」
……はっはっは。……マズイ。
「そんなことないよ。ね、こっちゃん?」
……はっはっは。なんでナオちゃん、こっち見てるのかな。
―――あたしはそっと、2人のそばにいく。
な、なんてあやまろう。ただ「ごめんなさい」って頭を地面にくっつけても、ダメな気がするぞ?
そして結局、たっくんの目の前に来ても何も言えない。
たっくんはたっくんで、とつぜんあたしがやってきて、ビックリしてるだけ。
……まるで時間が止まったような、ちんもく。
サラサラと風にゆれた草の音が、たまに聞こえる。
「……あのさ、こっちゃんは本気だったの?」
サラ……と風が止まったとき、ナオちゃんの声がした。
「え?ほんき?」