ひみつのはら

 ナオちゃんはあたしをじっと見て、また聞く。


「こっちゃんは、本気でたっくんアクマだと思ってる?」


「えっ?そ、そんなわけ……」


 ―――はっ。そういうことか!


 ナオちゃん、よくあたしたちのこと知ってるなぁ。


 と、いうことで。あたしはナオちゃんの作戦にのっかった。


「そんなわけないじゃん!アクマってのは、もっともっと怖くて悪くて……たっくんになれるわけないじゃん!」


 そうだよ。なに悩んでたんだろ、あたし。


 いつもみたいに、ケンカするみたいに「違う」って言っちゃえばいいんだ。


 まぁ、目の前のたっくんは怒るだろうけど……。


「……」


「たっくんはアクマじゃなくて、どっちかというと……アクマの手し……。
 
 ええと、あれだ、カラスだ!」


「……」


「カラスは見た目はかわいいけど~、すっごくずるがしくって~、あ、ほら!ぴったりじゃん!?」


「……」


 がんばってるんだけど……だんだんたっくんの目が、かわいそうなものをみる目に。


 せ、せめてなんか言ってよ……!


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