ひみつのはら

 また、ナオちゃんの声。


「こっちゃんはきっと、いつもみたいにふざけるつもりだったんでしょ?なのにたっくん、本気にしちゃって」


「ほ、ほん、気になん、て……」


 ほら、ってかんじでナオちゃんがあたしを見る。あ、ええと!


「な、なに?たっくん本気にしてたのぉ?で、こんな泣いてたのぉ?」


 いつも、悪いことをすると大人は「あやまりなさい」って怒る。


 今は大人もいないし、誰も「あやまりなさい」って言わない。


 でも、言われないからかな。すっごくイヤな気分。


 こうやって、ケンカで終わらせようとするのもナオちゃんのやさしさ。


 でも。……ホントにこれでいいのかな?


「たっくんって、ホントこどもだねェ。ホントに信じちゃうなんて……」


 ホントに、こんなことだけど、たっくんはあたしを信じたのに?


「ホントに……………ごめんなさい」


 いいわけ、ないよね。


「本気にして、それで、泣いてるんだったら……ごめんなさい」


 急にあやまったから、たっくんはさっきよりもっとビックリしてる。


 ナオちゃんもおどろいて……笑った。


 うん。これでいい。もう言わないけど、これでいいんだもん!


 だって、あたしはすっきりしたし。ナオちゃんは満足そうにうなずいてるし(ん?)、たっくんは……ハッとして、


< 133 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop