ひみつのはら

「あたし、言いすぎちゃったのかなー」


 さっちゃんがつぶやいたのは、運動会から1ケ月たった今日。


「さっちゃんは悪くないよ。どう考えたって、たっくんでしょ」


「それとも、こっちゃんがこわくて来れないのかな~」


 み、みゆきちゃん?あたし、そんなにキョーボーだった?


「……こっちゃん、あやまって」


 ふだんおしゃべりしないしげるくんに言われると、なんか悲しくなる……。


「でも、こっちゃんだけあやまるのはおかしいだろ」


 ぐうぜん聞いてたわたるくんが味方してくれて、ホッ。


「みんなー、席着いてー」


 先生が教室に入ってきて、梅組は静かになる。


 そして、……やっぱり。


「せんせー、たっくん今日もー?」


「う~ん、今日おうちに様子見に行こうと思うんだけど……おうちにいるんだよね?ゆかちゃん」


「うん……。たぶん、だけど」


 そうなんだ。たっくん、運動会いらい……ずっと幼稚園来てないの。


 やっぱり――あたしのせい!?


 ゆかちゃんに連れていってもらって、あやまりに行った方がいいのかな……。


 で、でも!あたしは、悪く、ない……。



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