ひみつのはら
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それは12月の真ん中くらいのこと。街はクリスマス仕様になって、キラキラ輝いてる。
緑幼稚園も、赤や緑でいっぱい。教室には小さいツリーやリースが飾られてる。
そしてそして、チューリップ組には、あたしたちの倍くらいあるような大きなツリーがあるんだ!
みんなで飾り付けしたんだよ~!……ナオちゃんと、たっくんを除いたみんなで。
それから、いよいよ音楽発表会が近づいてきた。
緑幼稚園は、毎年クリスマス付近でやるんだ。だから「クリスマス会」とやらは無いの。
合唱したり合奏したり、劇やおゆうぎをやったり。大きなホールを借りるんだよ!
いつもはワクワクするんだけど、今回はちょっと別かな。
実はね……。
「そこはこうでしょ!男子って、ホントにバカ!!」
「もっと大きい声出せよ!女子って、ホントにウザい!!」
「みにくいあひるのこ」――劇の練習中、こんな声が飛び交ってます。
そう、運動会が終わって、たっくんが来なくなったとき。
あたしとたっくん、どっちが悪いかで、みんなが言い合って……。
梅組、もっか、男女仲間割れしています。
あたし達のせい、だよね。でも、うーん……。
今は同じ役の子同士で練習してるけど、全体でやったら――どうなるのかな。
心配だ。
合唱・合奏は何とかできてるのになぁ。