ひみつのはら
「しょくいんしつ」――通称、「先生のお部屋」。
その入り口をちょこーっと開けて、あたしとさっちゃん、ゆうちゃんは中をのぞいた。
中にいる先生は飛鳥先生、たかなし先生、あと園長先生はじめ2人の先生。
どうやらたっくんは、緑幼稚園の先生全員に心配かけてるみたいだ。
みんな飛鳥先生――のでてる電話に注目してる。
「なんのおはなししてるのかな?」
「シュジュツ……シュジイ……タケン……」
あたしとゆうちゃんにはチンプンカンプンな言葉を、さっちゃんは真剣に聞く。
そして、小さな声で。
「たっくんの家族、誰か病院関係の人がいるの?」
何か分かったんだ!
あたしたちは知ってることをすべて話す。あ、もちろんヒソヒソ。
「お父さんがお医者さんだよ。ゲカのお医者で、しゅじゅつとかもするんだよ」
「あと、お姉さんが入院してるよ。春くらいからずっとだって」
聞いたさっちゃんは、こんなせつめい……推理!をした。
「どっちかは分かんないけど……お父さんは誰かの『しゅじい』ってやつで、その人を今度手術する。
もしくは、お姉さんが今度『しゅじい』に手術してもらう。
で、どっちであれ、その手術はこの県じゃできない。きっと東京とか、大きな病院でなきゃできないんだよ」