ひみつのはら

 さっちゃんがここまで言ったら、また先生の声が聞こえた。


 ――「じゃあ、小林先生はそちらへ行かれるのですね」


 小林先生……お父さん?の方の話みたいだね。そしてさっちゃんすご~い!!


 「すごい」って言おうとしたら、さっちゃんは「しっ」と指を立てる。


 いけない、まだ先生の話続いてた。


 ――「それでは仕方ありませんね。では、たっくんは12月いっぱいでやめるということで……」


 ……―――へ?


 今、先生、なんて?


 ――「残念ですね。あと3ヵ月で卒園なのに……」


 ――「お忙しいのは重々承知ですが、せめて、音楽発表会だけでも……」


 ――「無理そう、ですか。……あっ、時間があったら是非……」


 どうやら切られちゃったみたい。先生たち、みんな悲しそう。


 ふと見ると、ゆうちゃんもさっちゃんもうつむいてる。


 ……あたしだけ、冷静?


「あれ、3人共どうしたの?!」


 飛鳥先生が出てきて、さっちゃんが思わずってかんじで訊いた。


 本当にたっくんはやめるのか、どうしてなのか、いついなくなるのか。


 ゆうちゃんも訊いた。


 やめたらどこに行くのか、もう戻ってこないのか、あと少ししかいられないのに、なんで最近おやすみするのか。
 




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