ひみつのはら
1.こっちゃん
「こーのーみー、朝だよー」
遠くからおねえちゃんの声がするような……て、あれ?
ガバッと起き上がると、おねえちゃんがいつものように覗き込んでいた。
そしていつものようににっこり笑う。
「おはよう、このみ」
「おはよう。ねぇ、あたし寝坊した?」
「ううん、まだ平気。でも朝ご飯はできてるよ」
今から、あたし―――小川このみの一日が始まります。
♪
急いで1階に降りて、テーブルに着く。「いただきます」と勢いよく食べ始めると、おねえちゃんが言う。
「そんなに慌てて食べると、喉に詰まっておえってなっちゃうよ?」
……もっと早く言って、そういうことは。く、苦しい……。
「おねえちゃんはもう食べたの?」
「うん。ごめんね。大学のレポートやらなきゃならないもんで」
「ふぅん。大学って大変なんだねぇ」
それから30分くらい、あたしは食べながらおねえちゃんを見ていた。