ひみつのはら

 今年もさっちゃんちと一緒か。

 思わず諦めの溜息をする。と。

「こっちゃん、一緒にお弁当食べる約束したんだし、みゆきたちと一緒に行こうよ!」

 突然みゆきちゃんが声をあげた。あたしどころか、おねえちゃん達もビックリ。

「ねぇママ、良いでしょ?」

 みゆきちゃんのキラッキラな目で見られて、みゆきママは「う」となる。

 でも、ふと思い直したように頷く。

「そうだね。こっちゃんさえ良ければ、連れてってあげられるよ?」

 今度はおねえちゃんが困る番だった。

 そりゃそうだ。いくら仲良いとはいえ、おしゃべり以外したことのない人だもん。

 ちょっと考え込んで、それからおねえちゃんはかがんであたしに訊く。

「このみは、みゆきちゃん家と行きたい?」

 ……はっきり言うと、不安。

 みゆきママはよくあたしに話しかけてくれるけど……丸一日いて、嫌われたりしないかな。

 けど、好奇心もある。さっちゃんちじゃない家族と過ごすなんて、すっごく久しぶりだもん。

「みゆきはこっちゃんと一緒がいい。こっちゃんは……やだ?」

 みゆきちゃん、不安そう。

 誰かに嫌われるのが怖いのは、みんな一緒なんだ。

 みゆきちゃんにそんな思いをして欲しくないし、あたしもやっぱり、みゆきちゃんと行きたい。

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