ひみつのはら
「構いませんよ。それに、私はお父さんとお話ししたいんです」
うーん、先生すごい。
「こっちゃん」
ふいに、さっちゃんがひそっとあたしを呼ぶ。
さっちゃんは玄関を開けようとしている。え?な、なにするの!?
「鍵、開いてるよ。先生たちが話してる今のうちに、中を捜そう」
いつものさっちゃんなら、ぜったいこんなことしない。なのに今は、すごく真剣。
そう……そうだよね。悪いことだって知ってるけど、こうしなきゃ中に入れないよね。
あたしたち、正しいことするんだよね。
あたしたちは、そーっとドアを開けて、その中に入った。
あたしは、目をうたがった。
うす暗くって、まるでだれも住んでいないような、さみしいかんじ。
その部屋、リビング?を見た瞬間、思いだしたの。
「ここ……夢に出てきたお部屋といっしょだ!!」
とうぜん、さっちゃんは「ええ?」ってあたしを見る。
「あのね、ゆうちゃんから相談されるちょっと前に、へんな夢見たの。それに、ここと同じお部屋が出てきたの!」