ひみつのはら

「構いませんよ。それに、私はお父さんとお話ししたいんです」


 うーん、先生すごい。


「こっちゃん」


 ふいに、さっちゃんがひそっとあたしを呼ぶ。


 さっちゃんは玄関を開けようとしている。え?な、なにするの!?


「鍵、開いてるよ。先生たちが話してる今のうちに、中を捜そう」


 いつものさっちゃんなら、ぜったいこんなことしない。なのに今は、すごく真剣。


 そう……そうだよね。悪いことだって知ってるけど、こうしなきゃ中に入れないよね。


 あたしたち、正しいことするんだよね。



 あたしたちは、そーっとドアを開けて、その中に入った。








 あたしは、目をうたがった。


 うす暗くって、まるでだれも住んでいないような、さみしいかんじ。


 その部屋、リビング?を見た瞬間、思いだしたの。


「ここ……夢に出てきたお部屋といっしょだ!!」


 とうぜん、さっちゃんは「ええ?」ってあたしを見る。


「あのね、ゆうちゃんから相談されるちょっと前に、へんな夢見たの。それに、ここと同じお部屋が出てきたの!」





< 211 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop