ひみつのはら

「みさきちゃん、病気で入院してるんだよね?」


 よく分からないけど、何かの病気って聞いたよ。


「ボク……うまれて、なったの」


 やっぱり、よく分からないよ。


「だからね、ボク、いなくなれば……おねーちゃ……よくなるかな?」


 そう言って、たっくんは……すこし笑った。



 なんで笑うの?なんでそんな悲しいこと言って、笑うの?


 もっともっと分からないよ!


「まったく、やっと話したと思ったら……」


 おっと、さっちゃんが――こわくなるぞ。


「あたしたちにさんざん捜させといて、なに言ってるの!
お姉さんはそれでよくても、あたしたちはよくないの!!

たっくんがいなくなったら、あたしたちが病気になるからね!!」


 さっちゃんがどなると、ハクリョクあるな。


 この世で1番こわいのは、さっちゃんだったりして。


 たっくん、泣くなよ。


「ほら、こっちゃんもそんなこと言ってないで手伝って!あたしがたっくんをおんぶするから、こっちゃんはなんとか道思いだして!」


 は、はい!


 でも、とりあえず。あたしだってたっくんに文句言いたいんだ。




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