ひみつのはら

「……」


 さっちゃんの問いに、小さくうなずいた。


 あの、あたしは?


「そっか。あ、こっちゃん。たっくんは大ケガなんだから、触っちゃダメだよ」


「触んないよ!」


 そのあとおねえちゃんたちも来て、すぐに病室はにぎやかになった。


 ホントはあたしたち、会っちゃだめだったんだって。
 だけどたっくんが1人ぼっちだったから、特別に会えたんだって。


 ―――1人ぼっちか。


「たっくん、1人でさみしくない?こわくない?」


 そっと聞いてみたら、小さな声で答えてくれた。


「馴れてるから、へいき」


 そうか。いままでおうちにいる間、ずっと1人だったもんな。


 なんかくやしいけど、オトナだなー。




 なーんて思ってたとき。


 とつぜん廊下からバタバタと誰かの駆けてくる音がした。


 な、なんだ?


 どんどんこっちに向かって来てるような……。


 思わずみんな黙る。たっくんでさえ(?)おびえた顔をする。



   ガラッ





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