ひみつのはら
「別に、言いたい訳じゃないけど……しげるくんとおんなじなんだって思って」
久しぶりに聞いた名前。
え、しげるくんって、あの?
慌ててみゆきちゃんの元へ走る。
「どうしたの?こっちゃん」
「ねぇっ、しげるくんって……」
ここであたしは固まる。
「……え?」
みゆきちゃんの隣にいたのは、そう呟いたしげるくんだったんだもん。
「しげるがどうかした?」
無邪気に笑うみゆきちゃんと、仏頂面なのか無表情なのか分からないしげるくん。
し、しまった……。
「え、えっと……今日……」
〝しげるくんも誕生日なの?〟
その一言が言えない。それを言う相手は、しげるくんになるから。
でも、しげるくんとは話したこと無い。
心臓がどくんどくんってなる。
……みんなには、分からないかもしれない。
話すのが苦手―――怖いって感じること。
〝このみなんかと話したら、相手は嫌な気分になる〟