ひみつのはら
確かに、今日お話しできた。
でも、まだそんなに仲良くないし……。
友達って言ってもいいのかな?だけど、やっぱり……。
「ううん、同じ梅組」
短く、小さく、でもはっきり言っちゃった。
だって、嫌だよね。勝手に友達にされるの。それも、こんなあたしとなんて。
「ふ~ん、そうなの?」
おねえちゃんはその後、何も訊かなかった。
しげるくんはやっぱり、無表情。何を思ってるのか、全然分かんない。
でも。ケーキを指していた指をゆっくり引っ込めた。
「何?それやめるの?」
しげるママはしげるくんの顔をのぞきこむ。頷くしげるくん。
「も~、ホントはっきりしないヤツ!」
お姉さんがイライラしたように、しげるくんをにらむ。
―――なんだか、あたし失敗した気分。
今のは、あたしが悪いんだよ。お姉さん。
だから、しげるくんを怒らないで。
お姉さんの声を聞きながらケーキを買って、あたし達はお店を出た。
帰りながら、うつむいてるあたしにおねえちゃんがぽつりと言った。
「さっきの子、このみが友達じゃないって言ったら、なんか寂しそうだったね」