ひみつのはら

 やっぱり。

 あたし、しげるくんにひどいことしちゃったんだ……。


            ♪


 家に帰って、おねえちゃんと昨日から用意してたごちそうを食べた。

「うん、このエビフライうまくできた!……って、このみ?エビフライ嫌いだったっけ?!」

 おねえちゃんの慌てた声にハッとする。

 あれ、あたし今変な顔してたのかな。

「すきだよ!だーいすき!!」

 おねえちゃんよりも慌てて答えるあたし。誤解されて2度と食べられなくなっちゃったら、あたし生きてけないよ!!

 だけど、やっぱり気分がすっきりしない。

 しげるくんと、明日お話しできないかなぁ……。

 また不安顔になった、その時。

    ―――ジリリリリン ……

 〝おねえちゃんのけーたい〟が鳴った。この、昔懐かしい黒電話の音は……。

「げ、本家からだ」

 そのまま廊下へ直行。あたしに気をつかってるんだな。

 でも、よりによってこの日かい。



 
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