ひみつのはら

 そう、なのかな。

『とにかく、このみから話しかけ続ければいいんだよ。絶対、友達になれるよ!』

 お兄ちゃんが正しいかは、分かんない。

 でも、ずいぶん心が軽くなった、かな。

 あたしにも、できるかな。

「……うん、やってみる。ありがとね、お兄ちゃん」

『頑張れ。いっぱい願えば、絶対叶うから』

 そうだね。前向きに考えなきゃ。

 〝おねえちゃんのけーたい〟をおねえちゃんに返して、あたしは席に着く。

「またかけてやってねー。いっそのことさ、ケータイ欲しいって提案してみれば?」

『無理だよ。おれ、まだ3年だよ?せめて高学年にならないと……』

「その辺の高学年よりずっと大人っぽいじゃんよ」

 かすかに、おねえちゃんとお兄ちゃんの会話が聞こえる。

 やっぱり、子供ってソンだよ。

 会いたい人にも会えないし、一緒に住む人も選べない。

 自分じゃ、なんにもできない。

 大人はキライだけど、やっぱり早くなりたいって思う。

 おねえちゃんが切った時には、あたしは食べ終わってた。

 おねえちゃんもすぐ食べきって、ケーキを持ってきた。
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