ひみつのはら

 だったら、いいんじゃないかな。そのままで。

 でも。それでいじめられたんだ。

 悪くなくても、いらないものなんだ。

「……それって、治るの?」

「……」

 しげるくんにも、分かんないことなのかな。

「そういえば、緊張するとって言ったよね。さっき、緊張しちゃったの?」

「……ちょっと」

 それでも、言ってくれたんだ。

 きっと怖かった。きっとどきどきした。なのに。

「―――今は?あたしと話してて、緊張してる?」

 ふるふると頭を横に振るしげるくん。

 よかった。なんか、すごく安心した。

「今度は、あたしがしげるくんを守るね。今日のおかえしで」

 笑いかけたら、やっと顔をあげてくれた。

 それから「ありがと」って言ってくれた。

 だからかな。どきどきしないで、すんなり言葉がでてきたの。

「……あのね、あたし、昨日のこと謝りたかったの。ごめんなさい。ほんとはね、しげるくんと友達になりたかったの」

 しげるくんは、驚いて目をぱって大きくした。

「あたしと、友達になってくれる?」
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