ひみつのはら

 教室に戻る時、たっくんが訊いて来た。

 あ、そうだった。しげるくんのことそっとしとけって言われてたんだ。

「うん。友達になったよ。昨日、幼稚園から〝ダッソウ〟した時に」

「あ~、なんか怒られてたね」

 う、しっかり見てたのか。

「―――たっくんはさ、しげるくんの、知ってたんだよね」

「うん……。入園式の日、泣いてたから」

 もしかして、たっくんもあたしみたいなことして、友達になったのかな。

 それにしても。

 友達ができるのって、すごくいいな。

 なんだかにこにこしてたくなるよ。

「こっちゃん、行こ~。たっくんも」

 しげるくんとみゆきちゃんが近づいてきた。あたしは、本当ににこにこになった。





 そういえばさ。

 昨日しげるくんと行ったあの野原、何だったのかな。

 なんだか知ってるような、知らないような……行ったことなんて、あったっけ?

 ま、いっか。




 


  しげるくんは、あんまりお話ししないけど、とっても人思いな男の子です。
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