ひみつのはら
それなのに、2人共さっちゃんだけにはかなわない。何でだろう?
「あれ、2人共梅組さん?良かったね~、同じクラスになれて」
思わずあたし達は、
「「よ、よくない!!」」
ハモッた。……何で?
そこへ再び先生。
「おはよう桜ちゃん。桜ちゃんも梅組さんだよ」
おおっ!先生はしゃがんでさっちゃんの制服に名札をつけ……ようとするんだけど、
「あ、自分で付けられます。子供じゃないんだから」
スパッと断られた。
大人っぽいさっちゃんは、何でも自分でやろうとする。カッコイイなぁっていつも思う。
それからだんだん園児が登園して来た。そして、みんなこの「赤ちゃんのうち」に入る。
「赤ちゃんのうち」っていうのは、0~2歳の子達のクラス・たんぽぽ組ともも組がある建物。
それから延長保育組・チューリップ組もある。
幼稚園の建物とは繋がっていて、あたし達―――チューリップ組は幼稚園が終わると「赤ちゃんのうち」に来る。
今は早朝保育っていって、チューリップ組は朝早くから幼稚園に来ても大丈夫なんだ。
たっくんやさっちゃんとは、このチューリップ組で友達になったんだよ。
「8時になったよ~。チューリップ組のみんなはお片づけをして新しい教室に行きましょう!」
チューリップ組の先生・飛鳥先生の声で、みんな動き出す。
今日、どんなことがあるのかな?先生は誰かな?
もう年長さんなんだから、怖がらないでみんなとお話しできるかな……?
そんなむずむずした気持ちで、あたしはたっくんとさっちゃんと、梅組の教室へ向かった。