ひみつのはら

 飛鳥先生が声をかける。

 へぇ、3年目にして初めて見た。ゆうちゃんのおかあ……?ん、おばあ……?

「どっち、だろうね」

 こそっとおねえちゃんも訊いてくる。うーん、大人ってムズカシイ。

 ―――って、今先生、たっくんの名前も呼んでた?どういうこと?

「おばあちゃん!今日は早いんだね!」

 おばあちゃん、なのか。

「わぁ、こっちゃんと同じ時間におむかえなんてなかなかないよね~」

 なんか、ゆうちゃん嬉しそう。

 ……いつも、そんなに遅くに帰ってるのかな。

 おねえちゃんちがあいさつしてるのを見て、ゆうちゃんが「日曜日の……」って話し出した。

 ホントのホントに行けるんだ、でーと!!

「何?ゆうちゃんとどっか行くの?」

 おっと、たっくん忘れてた。

「うん。ちょっとね~……ねぇ、なんでゆうちゃんと同じおむかえなの?まさか誕生日一緒だし、双子とかって事実が……!?」

「あのねー、何でそう勝手に話を進めるかな。くやしいけど背の高さも全然違うし、なにより苗字が違うんだよ?」

 そうだった。ゆうちゃんの名前は、前(さき)裕太郎。

 たっくんとは違うんだった。
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