ひみつのはら
「おねえちゃん、遊理兄ちゃん来たよ!!」
「え、もう?やば、まだ服決めてないよ~」
おねえちゃんは昨日からずーっと服を選んでる。なんでそんなに迷うのかな。
あたしは今着てるワンピースを絶対着る!って、でーとの話をした時から決めてたよ。
だって、去年の夏休みにゆうちゃんが「かわいいね」って誉めてくれたんだもん。
「おはよ~このみサマ。あれ、由紀は?」
「まだ仕度してるよ。おねえちゃんはやく~!!」
声をかけるけど、ドタバタと音が聞こえてくるだけ。
―――しばらくたって、やっとゼエゼエしてるおねえちゃんが出てきた。
新幹線……いや、ジェット機のスピードで着替えたんだな。
「お待たせしました~、行こう!」
と、いうことで。遊理兄ちゃんの運転する車でしゅっぱ~つ!!
まず寄るのは、隣町のスーパー。
そこでゆうちゃんと合流。と、お昼選び。
「こっちゃん、おはよーっ!!」
あ、ゆうちゃんいた!ちょっとホッとした……。
その隣は、えーと、ゆうちゃんのおばあちゃんだ。
「今日はよろしくお願いします」
「い、いえいえ。全力で裕太郎くんをお守りします」
緊張してるかんじで、おねえちゃんと遊理兄ちゃんが頭を下げる。