ひみつのはら



            ♪



「さっちゃん!一緒だね!」

「良かった~、たっくんと同じだ~」


 チューリップ組じゃない子達も登園して来て、梅組はにぎやかになった。


 さっちゃんもたっくんも、年中さんの時の友達と話している。


 あたしだけ、一人。


 年中の時の友達、いたにはいたけど……この2人を除いたら、たった2人しかいない。


 2人共、お隣の桜組だったのかな。


 なんか、1人には慣れてるんだけど……さみしい。


 けれど、そんな気持ちはすぐ吹き飛んだ。


「誰かと話してくればいいのに」


 そう言ってたっくんが隣に来たから。


「ひ、1人が好きなの」

「そうだったんだ~。てっきり友達がいないのかと」

「ち、違うもん!」


 そっぽを向きながらも、いつもの通り思う。


 どうして喧嘩友達の傍にいてくれるんだろう。あたしも何で嫌じゃないんだろう。


「……なんでたっくんは友達いるんだろ。こんな最低なことしか言わないヤツの、どこがいいのかなぁ」

「それどういう意味?」


 言い返しながら、でもたっくんはニヤッと笑う。


 な、なんかすごくヤな予感。こういう時って確か……。


「こっちゃん友達いないんだ~」


 やっぱりィィィィッ!!!

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