ひみつのはら

 あれ、今なにが起こった?

 すごくドキドキしてる……。

「こっちゃん大丈夫?あのね、おばけがこっちゃんをさらおうとしたんだよ。あ、でもオレが追い払ったから、もう大丈夫だよ!」

 ……えーと、よく分かんないけど……平気、なのかな。

「おねえちゃんちは?」

「さっき、そのおばけにビックリして走って行っちゃった」

 あたしたちを置き去りにしたのか。あの人たちは。

「あ、えっと、ごめんね。待たせちゃって。行こっか」

 足を踏み出そうとした時、自分の足が震えてることに気付いた。

 もしかして、あたし―――怖い?

 か、かっこわるい……。

 でも、進まなきゃ。でも、怖いよ。

 ちょっとしたことでビクッとするあたしを、隣のゆうちゃんは困ったように見てる。

 だめだよ、あたし、足手まといだよ。

 またおばけが出て、思わず逃げようとしたら。

          びりっ。

 や、やな音……。

 紙テープを結んでる手どうしをつないで、おばけのいないところで確認。

「よかった~。まだ少ーし破れてないよ」

 ゆうちゃんが笑って言った。
 
< 73 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop