ひみつのはら

 ゆうちゃんって、前向きだな。

 あたしは「テープ切れちゃう!」って慌てて、「もうダメだ」って諦めそうだったのに。

 ゆうちゃんは「まだゲームオーバーじゃないね」って笑ってる。

 どうして、そんな風に考えられるのかな。

「だいじょうぶだよ、こっちゃん。オレがついてるからね。こっちゃんは絶対、オレが守るよ!」

 暗がりに咲いた、ひまわりみたいな笑顔。

 あたしのこと、いつから気付いてたのかな。

「早く行こ。怖くなんか、ないよ……」

 あたしの手をにぎるゆうちゃんの手。熱くて、震えてる。

「ゆうちゃん……ごめんね」

「何が?」

「へいきだよ。ゆうちゃんがいるから。あたしも……ゆうちゃんを守るよ」

 おんなじようには、ひまわりみたいには、笑えないけど。

 ゆうちゃんに負けないくらい、あたしもぎゅっとその手を握った。



             ♪



 外に出ると、おねえちゃんちが駆け寄ってきた。

< 74 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop