ひみつのはら

「だって、アレだもんね~。先パイ」

 アレって!?ま、まずい……!

「こっちゃんどうしたの?なんか顔、こわいよ?」

「ゆうちゃん!このままじゃ、あたしたちの今までの苦労がアワだよ!」

「くろう?したっけ?」

 さ、さすが前向きゆうちゃん。あれを苦労と思ってなかったのか!

「とにかく!最初に言ったよね?おねえちゃんちにきすさせるって」

「え?……あ。うん」

「なんとしてでもさせるよ!どうしよう……やっぱり体当たり?う~ん……」

 考えこむあたしを、ゆうちゃんはふしぎそうに見た。

「こっちゃん、なんでそんなにチューさせたいの?」

「だって、2人はカレカノなのに1回もしてないんだよ?」

 今度はゆうちゃんが考えこむ。え、あたしの答えおかしくないよね?

 ゆうちゃん……なに考えてるのかな。

 そのうち観覧車乗り場まで来た。そして。

「2人ずつ乗ってね~」

 一瞬間を置いて、あたしたちは「ええ!?」と叫んだ。

「子供だけで乗せる気ですか!?」

 おねえちゃんがあわてて言う。

 相手は「100cm以上はOKです」と言い切った。
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