ひみつのはら
「演技とかしないで、はっきり言えばいいと思ったの」
何度か、訊いたことはあった。
「しないよ」って答えられた。
だから、行動しなきゃって思った。
「あ、来たよ!乗ろ、こっちゃん!」
観覧車の中で、あたしたちは黙ったままだった。
ふと外を見ると、夕焼けが見えた。
空が、赤い。
「こっちゃん、ここから2人、見えるよ」
静かな声でゆうちゃんがあたしを呼ぶ。向かい合って座ってたあたしは、そっとゆうちゃんの隣に行く。
ほんとだ。見える。
「してくれるといね」
ちょっとドキドキ。こういうことを「みまもる」って言うんだ。
みまもるって、なんかヘンな気分。
苦しいような、楽しいような、うずうずするような。
―――まえ、おねえちゃんが言ってた。
「このみのお母さんとお父さんは、ずっとこのみと悠樹を見守ってるよ」
死んじゃった人が、生きてる人を見ることができるか分かんないけど。
おかあさんとおとうさんも、こんな気持ちであたしを見ててくれてるのかな。