ひみつのはら
たっくんはいつもこうだ。
隠そうとすると、相手がそれを認めるように会話を進める。
「い、いるもん!」
「どこに?」
「えっと……さっちゃんとか」
何でこんなこと言わなきゃいけないんだ~!!
「1人だけ?」
ホンットむかつく~!!
さっき言ったのやっぱり嘘!あたしたっくん大っキライ!!!
「もういいもん!たっくんとはもう友達なんて思わないから、さっちゃんだけでいいもん!」
そう怒鳴ってずんずん歩く。と。
「ち、ちょっと。怒んないでよ」
慌てたように追ってくるたっくん。
誰だってあんなこと言われたら怒るっつーの!!
でも、あたしはすぐハッとする。
「ボク、こっちゃんの友達で良かったの?」
そうだ。たっくんはあたしと一緒で、ホントは人といるのが苦手だったっけ。
自分に自信が無いんだった。
だから、一緒だと思ったから、今までそばにいたんだ。
くるりと振り返って、あたしはたっくんと向き合う。
「たっくんがあたしと友達って思ってるならね。でも違ったみたいだし……」
「あ、ええと。……ごめん」
「何が?あ、もしかしてたっくんはあたしと友達でいたかった?」
「ち、違うから!何でそーなるの!?」
「あれ、イヤなんだ。じゃあそういうことで」