リフレイン

「それは良かった…私、あなたにどうしてもお礼がしたくて」



彼女はゆっくりとあたしの隣に座った。



「実は私……再婚するんです」



「えっ…?離婚されてたんですか?」



彼女はコクンと頷いた。



「前の旦那は……仕事もせず、酒に酔っては私や息子を殴っていたんです。息子を守りたかった…それで離婚したんです。」



「そう…だったんですか……」



あたしは思わず俯いてしまった。彼女がそんな過去を背負っていたなんて…



「でも再婚する新しい旦那は違います。優しくて私や息子のことを考えてくれています。やっと幸せになれそうですよ、私。」



彼女はふふっと幸せそうに微笑んだ。



「そうなんですか♪お幸せに!!」



あたしは彼女に満面の笑みを向けた。



「あの…お名前を教えて頂けますか?」



彼女はおずおずと聞いてきた。



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