リフレイン
――ガチャッ
「――みんな、聞いてくれ。少々厄介な事件が起きた」
司令官が険しい顔をして司令官室から出てきた。
「厄介な事件?」
特殊捜査課のみんながざわつき始める。
あたしも気になって身を乗り出す。
「……裏社会でも有名なマフィアのボスだ。奴等が近いうちに東京で麻薬取引をするらしい。それをなんとかして阻止せよとのことだ」
「マフィアのボス〜?まぁためんどくさいことを…」
「――司令官!!そのボスというのは……“九条十夜(くじょう とうや)ですか!?」
いきなり瑠樹也が大声を出した。
「どうした、倉橋……」
「九条なのかって聞いてるんです!!答えて下さいよ!!」
おかしい…
こんなの、いつもの瑠樹也じゃない。
瑠樹也はいつだって冷静で…
取り乱したことなんかなくて……
「落ち着け、倉橋。確かにボスの名は九条だ。しかしな、アイツは普通じゃない。今までの奴等とは違うんだ。九条を捕まえたい気持ちは分かるが勝手な行動は…」
「俺は落ち着いてます。ただなんとしてでも、九条を逮捕する。それが俺の目的ですから」
瑠樹也はそれだけ言うと、オフィスを出ていった。