リフレイン

――…



「――田さん…戸田さん!!」



俺は名前を呼ばれているのに気付き、ハッと我に返った。



「あっ、ごめん。何?」



俺を呼んでいたのは事務の成瀬さんだった。



「どうしたんですか?ボーッとしてるなんてらしくないですね!!これ、コーヒーです♪どうぞ♪」



成瀬さんは笑顔でコーヒーを俺のデスクに置いた。



「あ、ありがとう。」



お礼を言うと、成瀬さんは小さく頭を下げ、事務室に戻った。



無意識のうちに昔のことを思い返していたことに気付いた。



もうあの時のことを負い目に感じるのはやめよう。



今までそうやって何度も言い聞かせてきたけれど、全然上手くいかない。



言い聞かせようとする度、死んだ仲間達の顔が浮かぶ。



“自分ばかり生き延びている'という罪悪感でいっぱいになる。



死ぬ前に……
自ら命を絶つ前に司令官であった俺が、一言かけてやれなかったのかと後悔してばかりだ。



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