リフレイン

「お前……ふざけんのもいい加減にしろよ」



「なっ……」



「水樹が何だよ?確かに水樹は強いよな。男にも負けねぇくらいの実力も持ってる。だけどな…自分にそれだけの力がないからって水樹に当たるなよ。マジカッコワリィぞ」



戸田さんは床にしゃがみ込み、瑠樹也に目線を合わせた。



「……っ…失礼します……!!」



瑠樹也は口の端から出た血を拭うと、足早に去っていった。



「……戸田さん…」



あたしは恐る恐る戸田さんの名前を呼ぶ。



戸田さんはゆっくり立ち上がり、あたしを見た。



「ごめんな、水樹……アイツあんな言い方しか出来なくてさ…」



「いっ…いいんだよ!!だって戸田さんが悪いわけじゃないじゃん!!単に瑠樹也があたしにキレてただけで……」



「アイツさ……かなりピリピリしてるんだと思う」



戸田さんはとても悲しそうな表情をした。



「ま、まぁマフィア相手とかやっぱ気が引けるもんね」



あたしは苦笑いをする。



戸田さんは困った様な笑顔を見せた。



「アイツの父親を殺した張本人に会うことになるから……尚更な」


「あ……九条?」



あたしは遠慮がちに答える。



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